日本でパワハラが存在するわけ

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おとなしい国民性だから

こういう殺傷事件は、日本でも報道はされるものの、世界的に見れば少ない方だと思う。しかし、パワハラに関しては、世界的にみても、人口に対して発生している割合は高いと思う。

国民性は非常に関係していると思う。

いじめるという国民性ではなく、やられる側が大人しく受け入れるという国民性の方が関係している。

筆者も米国で就労している時は、主に日系で仕事をしていた。日本にある国内企業と比較して、確かに米国のやり方が取り入れられているには変わりないが、駐在はパワハラする人はいる。かくいう筆者も駐在の社長から、パワハラを受けたことで退職した。もちろん、東京本社にその事実を伝えるがために、退職を覚悟したというのが正確だろう。

今回、ヤマト運輸の元従業員が解雇された腹いせに傷害事件を起こしたことがニュースになったが、こういう事件はアメリカでは日常茶飯事だった。解雇されたドライバーが解雇通告を受けた直後、車から自動小銃を持ち出し、無差別に自分を解雇した事務所の従業員を殺傷していくというニュースは、いくつもあった。

フィリピンでは、貧困が多いために、一般の人が貧困層で生活している人に殺害を要求して殺されるという事件は普通にある。日本人も殺されている。

また米国は、訴訟大国でもあり、貧困層を除いて、中流以上の生活をしている人は不当な扱いを受けたりすれば訴訟を起こされることもよくある。

日本と同じようなパワハラを米国で続けたら、果たしてその会社は続くのだろうか、と思う。まず、訴訟を起こされないまでも、仮に米国のような先進国であれば、普通に転職をすると思う。日本は、なぜか我慢をして残り、不満を言い続けているような気がする。会社が売上を上げているのは、少なくとも営業マンがいるからだ。経理や開発、企画だけが存在していても、営業マンを外注しない限りは売りは立たない。

どれだけ嫌がらせや不当な扱いを受けても、なぜ辞めないのだろうか?営業マンは、外回りのついでに面接なんて受けられる。

帰国に際し、転職があまり多いと決まりにくいと聞いた。確かにそれはあると思う。しかし、パワハラやいじめを受けていて我慢した後に、いじめがなくなることはないと思う。いじめは文化のようなもので、周囲に伝染するものだ。だから、その環境から抜け出すのが一番得策と言える。

筆者の場合、転職の際は、あまり業界を選ばない。応募する企業も致死量。よく100社も落ちたと落ち込んだ映像を流すドキュメンタリーを見るが、100社なんて既に落ちている。落ちすぎて、リクルーターから紹介される企業がどれもかぶり過ぎて応募できない期間もあった。だから100社落ちたからと落ち込まないで欲しい。上には上がいることを覚えていて欲しい。会社も今の会社で9社目だ。帰国したばかりの時に高校時代の友人と会い、彼は12社目だと言っていたがIT系というのもあり、給与もよく、転職に引け目を感じていない。嫌ならいいと思う場所へ移る、という考えの下、再会した直ぐ後にも転職していた。

今はやめさせてくれないということもあるかもしれないが、退職代行業者も出てきたことだし、そういうところへ任せるのもいいと思う。パワハラを続ける人は、他では自分は通用しないから、そこに居続けていることが多い。できる人は、なんで私が…なんて思うかもしれないが、割り切って自分から抜け出した方がいい。

ただ、次の道が見つかるまで、暫くはパワハラの現職で我慢しなければいけないので精神的にはつらいと思うが頑張ってもらいたいと思う。

筆者は、パワハラを受けてから、すぐに転職活動をしたが、100社余裕で落ちたという言ったように1年半かかった。時間はかかるが、トライし続けることで、確実にどこかに引っかかる。これは経験則だが、やってるのにどこもダメという場合、まだやり切ってないはず。割り切って転職活動を楽しんだ方がいいだろう。

 

パワハラを受けてきた人を昇進させないこと

昇進させる相手は、他に人材がいないからという理由で、残っている人材を安易に昇進させないことが必要だと思っている。また末端の仕事をしていた時、エースだったからという理由でスーパーバイザーやマネージャーに昇格させないことが大事。

スポーツの世界でも、キャプテンが必ずしもチームの中で点取り王ととは限らず、点取り王が必ずしもチームのまとめ役が適しているということもない。

心理学を大学で専攻した際に、犯罪心理に関する書物を読み漁った。その知識と人生の経験則から結論付けたのは、

  • 若いころにパワハラを受けた人は、自分が上司になったときに同じことを部下にしている。1割くらいが反面教師になっているが、多くはパワハラが次のパワハラを生んでいる。
  • 若いころに虐待を受けて育った人は、大人になって子供を持つようになった時に、同じように虐待じみた行為を自分の子供にすることが多い。
  • 飲み屋で、酔うとお店の女性に横柄になる社員は、部下にも同様の扱いをすることが多い。

上述した結論は、あくまでも筆者の経験の中の統計からそう思っているので正解ではないが、概ね当てはまる。

筆者が前職で直属の部長からパワハラを受けたのは入社から半年ほど経過してから。それまで、その部長の昔を知らなかったが、筆者にハラスメントする姿を見て、別の課の人が、

「あの人も全部長の時は、皆のいる前でさんざん怒鳴られていやの思いをしたはずなのに、自分が部長になると同じ事するんだなぁ」

とこぼしていた。

自分の奥さんや旦那さんが、妙に子供へのしつけが度を越して厳しい、と思った方は、その人の子供の頃を調べてみて欲しい。大人しい人や思慮深い人が、頭ごなしを超えて、常軌を逸した叱責をすることは考えにくい。なぜなら、そういう環境を目にしたことが殆どないからだ。

人間の行動は、見たもの、聞いたことをベースに自分が考えた通りにしか行動に移すことができない。考えていないことを急に行うことは科学的にできないのだ。

気の毒なことに、一度でもパワハラのターゲットになってしまった人は、同時に昇進するチャンスも失っていると考えていい。だから、そういう環境に追いやられた時には、すぐに転職を考えて行動にでて欲しいと言及したのだ。

「自分の時は、こんなことさせられるのは日常茶飯事だった」という考え方になってしまうと、同じパワハラをしてしまう。その考え方が意識を支配する前に、癌の巣屈から抜け出して欲しい。

腹いせに殺傷事件を起こすのは、最終段階

腹が立ったという感情から、殺傷という流れに結びつくことは意識の中では誰しもあることだろうが、実際にその行動に出るのは、誰でもということはない。自分自身の中で歯止めを聞かせている意識があるため、行動には出ないのだ。

体内にある免疫作用と同じようなものだ。復讐をたくらむ意識は、体内で日々作られるがん細胞と同じ。組織でも同じだ。日々、組織の中でも、悪事をたくらむ癌細胞が作られているが、それを抑制するルール、人、システムがあって抑えられている。

例えば、抑制をつかさどる人が次々とやめ、ルールを軽視し始める文化が芽生え、隠蔽をすることでシステムの網を上手く抜けられる道筋を作ってしまう人が、組織を管理する側に転移したとすれば、外科手術でも切除しきるのに時間を要するようになる。

組織であれば、時間をかけて外科手術を行うことで綺麗な血液を循環させることに成功するかもしれないが、個人となると、その人一人の力では軌道修正が難しい。

人間は、環境でその人間性なり考え方は形成される。すぐ切れる人ばかりに環境にいれば、誰でもすぐに切れるようになる。逆にすぐ切れる人が、神対応の集団の中に放り込まれても、まだ切れ続けるだろうか?神対応集団とは、どんなに切れられても、ぐうの音も出ない程、謙虚にいさめる人たちの集まりだ。そんな集団はいないかもしれないが、仮にそんな集団の中に5年つかれば、心のがん細胞は、表に出ることもできずに退化していくことだろう。つまり、常識が入れ替わるということだ。

根が深いカビも業者用の洗剤やツールを使えば落ちるのと同じ。落としたカビは、環境により再発生する。人間も同じで、元居た環境に戻れば、昔の自分に戻る。だから抜け出し続けなければいけない。

今の日本人は、その環境で我慢することに強くなりすぎている。もっと自分の本能に忠実に生きてもいいと思う。