お金を持ってても世界の実情には疎い

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4大ビール会社のグループでの売り上げは、サントリー、アサヒ、キリン、サッポロの順で、利益に関しても同じ順位だが、利益に関してはキリンは大きく落としている。

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https://www.onecareer.jp/articles/870

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https://www.onecareer.jp/articles/870

サントリーはオーナー企業であって首位を独占している。イメージに比例するのもあると思うが、サントリーと言われて思い浮かぶのは、ウイスキーと飲料系。アサヒはスーパードライ三ツ矢サイダー。キリンはビール、サッポロは北海道だ。

当時、同業種で働いていたことがあったが、駐在の方にそれとなく聞いてみたことがある。キリンはその当時も大学名で人を採用していた。アサヒは、大学名は関係なく、売る覚えだが6~7割が新卒で後は中途採用というミックスをキープすることで、柔軟でフレッシュな思考が取り入れられるように採用をしていた。サントリーとサッポロは知らない。

大学名で人を採用しているエリート集団を集めたところで、利益でも売上でも首位奪還できないのであれば、大学で取る意味など何もないでしょう。それよりも当時気になっていたのは、豪の飲料会社とブラジルの飲料会社だった。ブラジルは案の定撤退し、今度はオーストラリアもだ。

これはキリンに限ったことではないが、日本の企業は買収が下手だということ。買収するときには、慎重にリサーチを重ねていることは重々承知だが、海外企業と比べると、現地法人に対する買収後の扱いが下手だと思う。子供が玩具を買ったところで喜びMAXになり、その後おもちゃは放置される絵に似ている。

大抵、海外法人を開くか買収かで、駐在員を派遣するか、出張ベースで管理するかのどちらかになるが、どちらの例をとっても、日本の戦略は日本でしか上手くいかない。逆に海外の戦略がそのまま日本で上手くはまることもない、という特殊な国でもある。本当に日本はガラパゴスなのだ。

縁あって、フィリピンに行ったことがあったので調べたが、人口の年齢分布グラフが成長にはもってこいのグラフをしてる。にも拘わらず、実際にフィリピンに行ってみると、日本企業の姿は目立たない。フィリピン人は日本にも多くいるくらいなので、よく知られているかもしれないが、まだ日本人は、フィリピンでのビジネスが娯楽気分なのかもしれない。言い換えると、フィリピンで大きく発展しようと考えていない節が見受けられる。

これは決してフィリピンに限らないが、どこの拠点にしても、駐在の中で当たり外れがあり、当たり国に行くと遊び、外れ国に行けば単身で、早く帰国が出来るよう、仕事に励むが人も足らずリソースも乏しく、まるで流布に近い。そういう扱いをするなら、海外に拠点なんていらないだろう。

アンハイザーブッシュがキリンとライセンス契約を結んでいた。米国で売国以外の頃なの権利を買収したことにあたり、日本ではシェアの高いコロナをめがけて日本に満を持して上陸した。予想通り、コロナの権利をモルソンクアーズから奪取するためだった。もちろん、バドワイザーの権利もだろう。

この例のように、海外に拠点を置いたからには、是が非でも達成する何かがある、的なものが日本にはない気がする。当時、筆者も上陸したばかりの時に一度面接をして社長面接まで行き落ちた。残念なことに社長面接のときに社長に本社からテレカンが入り、代理の人に落とされてしまった。

その後、別の機会をまって、再度面接をしたが、これは1次で落選した。IT企業のように若い人の集まりになっていた。それが成功しそうな雰囲気を醸し出していた。種類企業と言えば、スーツを着込んで年配の営業マンという姿が容易に想像できるが、その真逆である。

米国で話を聞いたときは、ブラジルのスキンカリオールに四半期ごとにビジネスレビューに向かうこと自体が24時間ほどかかり苦痛だということを知った。シェアのために買収をして、結局使いこなせず2000億を損をして売却したというのは、スキンカリオールを買収したいと考えていた企業に安く譲るために買収したと思われても仕方がない。

海外で販売する際、筆者も苦い経験がある。当時働いていた国内ブランドは、アメリカの主要ビールメーカーに委託する形でビジネスを始めた。蓋を開けてみると、契約を結んだだけで、全く売ろうとしない。結局、自分達で販売した方がいいだろうということになり、そこにいたスタッフを連れて米国の法人を開設した。

キリンは、バドワイザーを日本でライセンスする代わりに、アメリカでバドワイザー系列の卸の販売網に乗ることができた。もちろん、お金を払っている。それでも、独自で展開しているサッポロを抜くことが出来ないのは、お金の無駄だろう。しかも、筆者が帰国後、更に販売網を強化というような記事を読んだ。恐らくもっと投資したのだろうと思う。それでも、サッポロは抜けていない。その挙句、ブラジルもオーストラリアも手放すことになり、日本ではバドワイザーとの契約を2018年で打ち切っている。

海外勢が拡大するために上陸するのに対し、日本は買収後どうすればいいのか路頭に迷うことが多い。ただ明確でないなら、3000億というお金を動かすことはないと思う。しかし、やってみようの精神であれば、是が非でも手を打って流れを変えるべきだと思う。

アジアのビール会社も買収しているが、他地域での損が大きいため出遅れ感は否めない。売上では、アサヒと競っているのでいい勝負をしているのかもしれないが、懐事情は寒い。

正直、この原因は社風にあると思う。サントリーは、売上も利益もいいところを見ると順調には見えるが、正直、オーナー企業だから赤字が出ても続けられることが多くあるのも事実。当時、ビールを販売していたころ、アメリカではビール業は赤字、日本でも赤字だったか、やっと黒字になったかくらいだったと記憶している。そういうことが続けられるのもオーナー企業だからだ。

だからキリンが決して悪い例というわけではない。ただ、国内の戦いでも海外の戦いでも太刀打ちできないことを何年にもわたり証明したことになる。社風を変えた方がいい。今の体内時計は、昭和のどこかで止まっているはずだ。

酒類は未来において懸念する業界

実は、これは筆者が帰国時から思っている懸念事項。昨今、たばこ業界は向かい風に立たされており、縮小の一途を辿っているが、税収は変わらない。男性は禁煙をする人が増えたが、女性は横ばいか若干増えたりもしている。税率が上がることで、最終的に税収はたばこが安かった時期と比較しても大差はない。

酒もたばこも20歳を過ぎてからという嗜好品だが、なぜここまでたばこが叩かれるのか?

喫煙者自体が肺がんで亡くなるのは致し方ないが、受動喫煙で亡くなるのは非常に残念なことだと思う。ただ、子供の頃は、家の中で吸うのが一般的で、駅構内でも喫煙していたし、寧ろ吸えないところはどこだというくらい多くの場所で喫煙を目撃し、受動喫煙をするのが普通だった。

 

下のグラフは、JTが調査した喫煙者の変遷。

昭和40年から男性は減少し、女性は横ばい。

性別・年代別喫煙率の推移

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http://www.health-net.or.jp/tobacco/product/pd090000.html

下のグラフは、喫煙による死亡者の推移。上の喫煙者のグラフでは、男性の喫煙者が下降の一途を歩んでいるのに対し、死亡者数が寧ろ40~59歳で上がっているところを見ると、喫煙者数と比例はしていないように感じる。

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http://www2.med.osaka-u.ac.jp/envi/wp/wp-content/uploads/2016/01/h28g1.pdf

男女比が書かれていないので何とも言えないが、喫煙者数と喫煙による死亡者数が比例しているとすれば、同時に下がらないとおかしい。ただ、横ばいである共通点は、女性は喫煙者数は横ばいなので、ほぼ女性が亡くなっているというなら分からなくもない。

いずれにしても、喫煙に無関心な人がこのグラフを見ても、筆者が言及したことと同じことを疑問に思うことだろう。

一方で飲酒運転による死亡者数というのは2019年で3000件程なので、たばこほどの被害はないのかもしれないし、対策が功を奏していると言える。

とはいえ、たばこと喫煙では、大きく異なる精神状態がある。

たばこは、吸ったことで記憶を失ったり脳からの信号が遅れてくるというようなことはないと思うが、飲酒に関しては、記憶を飛ばしてしまう人、暴力的になる人、正常な判断が出来なくなる精神状態に置かれることがる。嘔吐などで道路を汚すことも往々にしてあるだろう。

たばこのポイ捨ては、かなり叩かれるのに、酔って道端で吐いた後は叩かれない。ストリートを汚すという点においては両者とも同じレベルである。

【酒臭い】も【たばこの臭い】と同等のレベルだが、たばこの方が毛嫌いされる。

たばこも酒類も税金が課せられているから、税収として貢献しているという点では相違ない。

死亡率の桁が違うということであれば理解できるが、記憶を失う、急性アルコール中毒になる、周りに迷惑をかけるという意味では、たばこと相違ないと思われ、将来的にたばこと同じような扱いになるのではと懸念している。

筆者も以前は吸っていたことがある。しかし、たばこを吸わないが酒で暴力的になり記憶を失う同僚には、さんざん迷惑をかけられた。その同僚は酒類のメーカーで働いている。酒類のメーカーで働いている営業が、酒を飲んでべろんべろんに酔っ払い、お客さんであるレストランのオーナーが介抱をしてタクシーに乗せ、その記憶を本人が一切覚えていない、という社員だった。それが迷惑行為でもないし、人が死亡したわけではないからと許されるなら、たばこの方がましだ。

その懸念を抱いて以来、転職において酒類業界に行くことを辞めている。いつか酒が厳しく規制される日が来るだろうと思う。

 

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