留学は経験的に非常に有益

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留学のチャンスがあるならするべき

留学は、少しでもチャンスがあるならするべき。親としても国内でインターに通わせるお金があるなら、留学をさせた方がいい。

日本の多くのインターは、考えているものと違うということを覚えておいた方がいい。英語を話せない日本人の英語の先生に多くの日本の生徒が英語を教わりました。筆者もそのうちの一人。文法と読解力はつきます。それは試験の戦略としてです。しかし、言語というのは、本来戦略のツールではなく、文化の一部でコミュニケーションのツールなのです。文化が分かって初めて言語の本当の意味も分かるし、意味が分かるから会話が通じるのです。

英会話スクールへ通ってもある程度話せるかもしれません。しかし、文化を理解していないので、暗記した文章を復唱しているに近い。だからとっさの会話に対応できないことは多い。

インターに通った子供たちは、英語を話せることが出来る人は多いのですが、その後、進学が出来る学力がついていないことが多い。通わせている親や、英語が話せれば、英語枠で受験で合格できるだろうし、その後、英語が武器になっていい企業へ就職できると考えていることでしょう。

17年の米国生活を経験して帰国し、外資系企業で思い知らされたのは、実際に海外で生活をしていない、しても短期の交換留学のみの方、または日本だけで英語を学びそのまま話せるようになった人、そういう人は沢山います。しかし、その人の多くが仕事までできる人が少ないということです。

長期留学の経験がないと身につかないスキル

国内にいるだけでも、少数ですがこのスキルがある人はいます。しかし、長期の留学を経験する、または海外で生活をした人との大きな違いは、視野の広さです。言い換えると、モノの味方です。簡単に言うと、円錐を見るのと同じです。下から見れば、〇ですが、横から見れば△です。

そのように、見る角度によって、モノや事、状況は異なって見えるのです。この常識の格差が海外に行くと異なるのです。日本では、よく「常識的」という言葉を使います。また常識が通じる国です。それは、恐らく民度が高いからでしょう。敢えてしつけていないと思いますが、文化的に躾られたように親が振る舞い、子供はそれを模倣している。だから、あたかも躾けられているように見えたりします。

海外にも常識はあるでしょう。しかし、17年生活をした筆者が結論付けたのは、人の数だけ常識があるということです。常識は、家庭環境が教えたものが、その子供これからの常識になるわけです。日本では、考え方が似通っているので、微妙に異なっていても、同じ考え方に見えるし、近づけられたりします。

米国にいた時、あまりの違いに、驚きがあったし、日本の常識に拘っている人は、もう学生の時から帰国をしてしまいました。私が海外での常識の違いを身をもって体験し始めたのは、大学を卒業してからでした。

まずは、米国ではジャンクフードばかり食べているイメージがあります。だから、家庭料理をする家庭は少ないと思っていたし、料理が下手だと思っていましたが、サンクスギビングなどに招待をされて食事をごちそうになったとき、まあ、何て美味しいこと!と思いました。

同様なことがイギリス出張の時にもありました。よくイギリスの食事は不味いと言われています。日本にいる方が、実際に言った方から聞いたか、色々な伝達のされ方を通して、イギリスの食事は不味い、に辿り着いたのだと思います。

筆者も経験した海外は、米国、バハマ、フィリピン、タイ。米国だけが居住です。イギリスには行ったことがなかったし、食事は美味しくないと思って出張を迎えた。そこでは、レストランでしか食事をとらなかったが、どこで食べても美味しかったのです。米国で舌が肥えなかったのが原因かもしれないが、それにしても美味しくないと豪語する程まずくはなかった。

このように、知識レベルで海外の環境を判断する人が多くいます。実際に外資系で働いたときの最初の上司が、海外に行ったことのない、日本語英語を話す典型的な日本人でした。その上司がよく、「外資とは・・」論を展開していましたが、日本での外資はそうかもしれないが、現地では違うよ、ってことばかりでした。

日本には、大きく分けて2種類の外資がある。いわゆる外国の企業のような外資、母体は外資だけど中身は国内企業。後者は、国内企業で働いているのと同じような環境ですが、前者にこのような上司または同僚が多くいます。

また海外旅行をたくさんしている人も、その国のいいところしか記憶に残っていないので、本当には理解できていないと思います。

その国に住めば、いいところも悪いところも経験するし、悪いところを受け入れなければ住み続けることは困難です。

そこで身につくもう一つのスキルが、許容です。日本での常識を望んだところで、そんなものは存在していないのだから、現地の普通を許容することが必須です。西洋人は紳士だと思っていませんか?そういう人はいるでしょう。でも、そうでない人も大勢います。

筆者は、イギリス人は紳士だと言われて育ちました。しかし、ずっとイギリス人の会社、上司にきつい扱いを受けてきましたし、紳士な姿を見たことはなかった。今の職場のイギリス人は、まさに紳士と言われる人で、イギリス出張に行った時も、紳士のような食べ方、扱われ方をしました。初めて、本当に紳士がいるんだなと感じました。それも実際に行かなければ分からなかったことです。

もう一つは、事実と報道されている内容との差です。筆者の滞在中に起きたことで言うと911のテロですね。

911の時は、MDに住んでいました。テロのニュースは、日本にいた両親から電話を受けて初めて知りました。それから、アメリカは危険なところという報道がされたのでしょう。両親は極端に心配していました。しかし、テロが起きたペンタゴンの近くにはよくいましたが、実際に危険ではなかったです。

NYもテロ時は危険でしたが3ヶ月もすると、実際はテロの頃の恐怖はどこへ吹く風のように気にならなくなったくらい。離れていると大げさになるものです。

現地の人間になりきることが生き延びる策

筆者は、当時ボルチモアという地域で音楽活動をしていました。90年代後半のボルチモアを知っている人であれば分かると思いますが、NYよりも犯罪率が高い危険な場所でした。NYが危険と思っていた日本人は多くいると思いますが、正直、ワースト10にも入らないくらい安全な都市になっていました。90年代にブルックリンに行ったときは怖さを感じましたが2000年前半のブルックリンは、高級住宅街が出来上がりお洒落な地域になりました。

ボルチモアは、当時、色々と小さなクラブが立ち並び、ライブをする場所が多かったのと、ローカルバンドの活動が本当に活発だった。NYとはまた音楽のジャンルが異なるメタルやロックのようなジャンルが多く活動していた。筆者が活動していたバンドもそういうバンドだった。

しかし、日本にいる日本人のようにお洒落に着飾って、長財布を尻ポケットから出しているような恰好をしていたら、間違いなくカモられていたでしょう。実際に大学時代に身ぐるみはがされた日本人は何人かいたくらい。

当時の筆者は、みすぼらしいという言葉が当てはまるくらいの格好だった。でも、それが自分を生き延びさせてくれた。そのバンド活動を通してバンド仲間が増え、アジア人のドラマーとして知られるようになった。それほど、日本人でバンド活動をしている人なんていなかったわけだから、頑張らなくても知られるようにはなる。

バンドの仲間の英語は、崩れていて多くのスラングが混ざりFxxx用語ばかりの英語表現、非常に分かりにくかったが、それこそが、言語を知るということだと思う。悪い習慣を目の当たりにして、それを受け入れるのも大事な文化の勉強だ。いいことばかりを子供に教えようとしている人は多いだろうが、悪いことを体験して尚、その生き方を選ばないという決断を教えることが必要だ。

結果的に留学後米国で就労をしたが、12年就労をしても帰国してしまえばまるで社会人1年目のように扱われる。海外での経験などカウントされない。そういうことも学んだ。海外の就労経験は日本では無駄な扱いになる。日本では、日本で培った経験のみが考慮されるのだ。

そのハンデをもってしてでも、海外生活で得た、視野の広さ、許容の大きさ、忍耐力、精神的な強さは、何にも代えがたい財産と言える。

アメリカは留学の費用が高いが、アジア地区なら格段に安く留学できるところもある。自分の懐と相談をし留学のチャンスを生かそう。また、留学に行く地域はどこも危険が伴う。親の子離れも必要であることを忘れずに。また子離れも、子供の成長過程には必要なことと受け入れることを忘れないように。

 

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