日本だけじゃない

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実力があるのに役員に嫌われて出世の道が絶たれた人材は、決して日本だけじゃない。これは海外にもある。経験上、外資系って普通にこの記事に書かれてあることと同じだと思う。

外資系の分かりやすいのは、社長が変われば従業員のメインどころが一掃されることも極端な話あって、ある意味経験した。

人の入れ替えは大きく分けると二つの種類

  1. 感情的な理由
  2. 機能的な理由

多くは2の要因で起こるけど、1を経験したので書いておこうと思う。

日本の会社でもあり、外資系でもあるが日本の方はよくあるパターンなので割愛し、外資系でイギリス人社長の下で起こったことが非常にドラマチックな展開だったので書いておく。

イギリス人は紳士というのは神話(1割本当)

まず筆者を雇ってくれた社長は、入社後2ヶ月で退任。この2ヶ月で退任した社長が出来過ぎるくらい、人間関係においても仕事においても仕事が出来る人だった。それもあり彼は100%社員から信頼されている社長だった。ニュージーランド出身のA氏としておこう。

筆者が入社しタイミングは、退任するイギリス人社長(B氏)の後任が既に雇用されており、イギリスへ研修のために出張に行っていた。この時から既に問題は始まっていたが、現行社長の退任も決まっていたため、問題視したところで次を見つけることが困難だった。

最初の問題は、会社携帯のヨーロッパでの使用に関してである。日本で説明を受けてなかったとはいうのは言い訳にならないと思うケースが起きた。このイギリス人社長は、既に日本で5年以上も働いており、日本の商習慣が慣れていないわけではない。

起きた問題は、会社携帯を出張先にもっていくが、海外に行くときは基本的に期内モードにしてWi-Fiだけを使うことが多い。Wi-Fi下でTeamsやZoomを使うなどで電話をするケースは十分考えられる。

この社長は、会社携帯で海外でかけ放題電話をかけており、帰国後何十万も請求をされている。にも拘わらず、これが最初で最後ではなく、後にも何度か同じ請求が会社に届いている。

仕事が出来なくとも社長にはなれる

仕事ぶりは、誰に聞いても、彼は何を普段しているんだ?と疑問視するくらい、事業内容を把握していない。いわば、課長に日々成績の進捗で絞られている一介の営業マンににていて、毎週UKの上司からの電話会議でこってり絞られているようだった。にも拘わらず、結果的に1年経過しても事業の本質を理解していなかった。UKの上司から言われたことを、日本の営業マンにそのまま伝えて、日本に合っていないやり方に現場の人間が疲弊するばかりだった。

問題ありの社長の共通点は公私混同

問題は、仕事が出来ないということではなかった。社長で仕事が出来ない人は大勢いるが、部長や取締役が仕事を回せていれば会社は成長する。しかし、B氏の問題は会社の私物化にあった。

実はB氏の話の前に、前職の社長も公私混同社長で社長を解任されたことがある。形式的には退任だが、実質その後の部署も与えられず本人から辞めていったので、事実上解任からの解雇に等しい。

彼は、自分の旅行に出張を利用していたのだ。今ではワケーションという言葉もあるので、もしかしたら混ぜ合わせたような業務スタイルが許されている会社も多いかもしれないが、前職は古くからの典型的な日本企業なので許されていなかった。

上手くやれば問題にもならなかったのだが、毎月のようにカリフォルニアからニューヨークへ出張に来ていた。来たことで同行日程を組んでも、仕事らしい仕事をしていない。出張に来たという足跡を残すための形式的な同行だった。お客さんの反応も「この間来たばかりじゃない?忙しくないの?」という反応。

目的は、ニューヨークにあるピアノバーのママさんだった。誰の目にも明らかで、正直プライベートに来る分にはいいと思っていたし、社員の誰もが完全プライベートで通う分には問題にならなかった。当時は、ある意味監視役で(当時の社長は以前公私混同が理由で帰国させられたことがある)もう一人駐在が来ていた。

今ではGoogleにフライト番号を入れると、日程表が表示される。それを見ると出張ではない日にNYに入っているということがばれてしまったのだ。勿論、彼の行動が自然であれば、誰もGoogleで調べるなんてことはしなかっただろう。

偶然ではあるが、そんなことが続いたある日、日本の海外事業部から出張でとある社員が米国に来た。毎年来ているのでいたって自然な来米であったが、実は社長が公私混同をしていないかという懸念が本部ではあったらしく、そのヒヤリングに来たのが本来の目的。現地社員は、皆正直に事実を話し、担当の人も帰国した。

後日メールが来て、彼の行動にはまたしても公私混同がみられ、会社の経費を利用していることから、帰国させるための緊急会議が開かれ、彼を帰国させた後の次期社長をどこから連れてくるかなどが話された。

割愛していたが、この事実が調査される前、社長よりパワハラを受けていた筆者は、事前に前社長(筆者を雇ってくれた社長)に相談していた。勿論、明るみに出れば会社にいずらくなるので、退職を決意した上で調査をしてもらうよう依頼した。

海外事業部の人が帰国した後、マーケティング部のヘッドが程なくして来米。ここで社長は、事実に関して問い詰められた。この時をもって帰国が決まるが、受け皿の部署はなかった。実質的な解雇である。初めてではなかったため、セカンドチャンスを与えられなかった。筆者は、社長の処分が決まる前に、会社を退職することになった。行先は日本帰国である。社長の処遇は、帰国後に聞いた。

パワハラは長く続き辛い時期だったが、筆者は必ず伝えた事実に対して行動を起こせる人物に報告することにしている。その際、退職を決めて伝えることにしている。

会社の私物化

B氏の話に戻るが、会社の私物化が激しかった。

  • 出張とプライベート

出張先が決まり、社長に先方の社長と顔合わせしてもらいたいから同行を依頼するのが普通の流れだろう

  • オフィス家具を海外の高級品で揃える

30名にも満たない小さなスタートアップにも関わらず、会議室で使用する外観はどう見てもIKEAレベルのものが海外から届き、金額は100万だった。

  • オフィスのワインを海外の高いもので揃える

会社は酒類の会社ではない。金曜日に1時間早く定時を切り上げで皆で飲む時間に充てていた。A氏が従業員をリラックスさせるために取っていた会社ルールの一つだった。当時は、ビールやワインを近所から買ってきて飲んでいたが、B氏は、海外からわざわざ何ケースも買い込んだ。会社のクレジットカードで

  • 会社のクレジットカードで私物を購入

営業マンには会社よりiPad Proを支給されており、社長にも1台支給されていた。ある時UKに出張行った帰り、iPadを購入した請求書が送られてきた。会社使用のものは既に支給されているので、私用としか考えられなかった。しかも、会社の誰もそのiPadの使い道を知らなかった。

HQからの依頼

経理から怪しい請求が多いというのと営業部やマーケ部から、あまりにも会社を私物化し過ぎているという意見交換が行われた矢先、偶然にも本部の営業のHeadからB氏の調査を依頼された。

かねてからB氏が社長に就任されてから研修を行ってきたが、その理解の乏しさから社長の資質を問われていたという。日本の数字は悪くはなかったが、それとは別に社長としてふさわしくないと常々思っていたようであった。

そこで相談役を通して「B氏の日本での言動が社長職を任せているものとして心配なので、社員からヒヤリングを行ってほしい」いう依頼があり、秘密裏にヒヤリングが行われた。

ヒヤリングに参加したのは、筆者を含めた営業3名、マーケC氏1名の4名だ。筆者とC氏は英語を話せたため、話を取りまとめた後の英訳を任せられ、一つのドキュメントにして提出した。それを提出したのが、年末だった。筆者は休暇で海外に出ていたが、滞在先でまとめていた。

ヒヤリングに関わったものとしては、これで何かしら問題が解決すると思い安堵していた。

年が明けて直ぐに、HQが使っているグローバルの弁護士を前にして、事実確認が行われた。東京側の代表として相談役が、時間をずらしてB氏が2時間ずつの時間を与えられ、書かれてあることに事実確認をした。

その翌週、HQ人事のHeadが来日、弁護士を通して事実確認をした内容をもとに協議が行われた。

結論は、B氏に非はないというものだった。寧ろ被害者だという結論だ。

筆者を含め社員側は、HQの営業のHeadに依頼されなければ、こんな事実を提出することもなかった。所詮、社内で不満を述べるくらいのレベルだった。それがHQの指示に従ったことで、我々が背任行為を測ったという結論に至ったのだ。

報復

この日を境に職場は地獄と化した。

B氏は、前職の営業部長を迎え、不在になっていた営業部長のポストに据えた。この新しい部長のD氏は、前職でB氏の下、実に社員の2/3を入れ替えた人物だ。人を切るために呼ばれたと誰もが察した。

まず最初にメスを入れられたのが、ヒヤリングに関わったC氏だ。朝、C氏が事務所につくとB氏の秘書がD氏が別の部屋でお待ちになっているので、そちらへ向かって下さいとC氏に告げる。

C氏は言われた通りに別室へ向かい、そこで不当な解雇を言い渡される。当時は2月で、C氏は5月までの契約となっている契約社員だった。5月までは給料を払うが、本日の今をもって、会社の出入りも禁止、顧客や社員との連絡も一切禁止という書面を渡されたという。そこでC氏の解雇は決まり、午前中のうちに一斉メールで、既に退職をしたと配信された。

次の標的になったのが筆者だ。D氏より毎週執拗にやめるよう詰められ鬱になりかけた。筆者の場合は、営業のため数字で挽回することができたため、数字が伸びれば「数字が伸びたのに辞めてくれというのもおかしな話なので、もう3ヶ月様子をみる」と3ヶ月ごとに言われ続ける。

報復の内容は、

  • 解雇を強要されること
  • 全てのキーアカウント取り上げられ、個店舗オーナーのみの対応にさせられたこと(各営業マンはそれぞえれチェーン店を持っていた)
  • 会議で進捗を聞いて回る時に筆者だけ飛ばされる
  • 筆者が獲得した客がチェーン店だと取り上げられ、別の担当へ割り振られる
  • 筆者の後に採用された営業マンにはキーアカウントが割り当てられ、筆者には依然として個店舗のみで地方担当をやらされる

こんなことを続けて半年弱くらいでD氏は突然会社に来なくなった。原因はメンタルを患っていたらしい。こちらがメンタルをやられかけたが、筆者以外はD氏から手厚い扱いを受けていた。皆いい人だと言っていたが、いい人が、初めて仕事の話をした日に退職を強要するかなとずっと疑問だった。

D氏は、メンタルを患い3ヶ月休職したが、B氏が引き戻した。1ヶ月ほど戻ったがメンタルは回復せず結局退職をした。筆者にとっては一難去ったという感じだった。

最後のとどめ

リストラ担当を失ったB氏は、外見では上手く筆者との距離ももとに戻りといった感じを装っていたが、今考えると次の手を打つための布石だった。

当時、販売商品の一つに、筆者だけがその仕組みや問題点、問題解決の問い合わせをグローバルに行っていた唯一の人間であり、営業マンは筆者に問題解決部分を頼っていた。B氏は、ある時、その商品に特化した部署を立ち上げたいと申し出てきた。筆者程精通している人間はいないので、任せたいという話だった。

その部署は、技術的な面を持ち合わせているので、次世代の製品だと感じ、その話に乗った。数か月後から正式にその部署を立ち上げるので、人事から正式に辞令が下りる日が来た。B氏も一緒だ。

その時に初めてJob Descriptionを見せられる。内容としては、聞いていた話と同じで問題はない。そこで辞令を受け入れた旨伝えると、突然、「これはマネージャー職ではないから、給与は10%下がりますので」と申し渡される。

この事実は、話を持ち掛ける時に伝えるべきだろう。こちらは、内々に新しいポジションを受け入れることに同意して、筆者の代わりの営業マンを既に採用しているため、営業に戻ることはできない。法律的には戻れるかもしれないが、法的に争うのはお金も体力も精神力も使うので面倒だ。しかも、苦労して営業マンに戻っても、手に入るのは営業マンというポジションと当時の給与額だけで、割に合わない。

この辞令を受けたその日に、リクルーターに連絡をはじめ職探しを始めた。

退職

入社してからは、経験のない業界のため、朝早く言って色々な文書を読み漁っては独学で学んでいった。しかし、どんなに努力をしようが無能であろうが有能であろうが、人事権を掌握している人が感情的にあなたを嫌いになったら、その組織でのあなたの未来は、なくなる。

何とか10%の給与をもらう前に転職先を探そうと必死に探した。結局、知り合いのつてで現職に就いた。

前職でさんざんな評価を受けたが、現職ではヨーロッパとアジアで表彰を受けた。へとへとになるまで頑張ったわけではない。寧ろ、コロナで頑張れなくなった分、一つに集中したことが功を奏したというわけだ。

前職でパワハラを受け、評価もさんざんなレベルまで下げられたのなら、そこで時期を待つのではなく、環境を素早く変えるべきだと思う。いじめを受けている場所で我慢していることはない。いじめを受ければ転校が転職が劇的に環境を変えてくれる。ただ去るのはもったいない。しっかりと受けた報復の事実だけは、しかるべき人物に伝えて、その後のことは任せた方が、今後同じ被害を受ける人を減らすことはできるだろう。

HQへ報告

今回の件は、1年間も報復を受けたし、そのきっかけがHQのSalesのHeadからの依頼を遂行したことがきっかけだ。前職のオーナーは既に社長の座から退いているが、未だマーケティングとしてかかわっていた。

中小企業のいいところは、社長やオーナーにも直接メールが送れることだ。

退職する日に、オーナーに1年に亘るD氏とB氏からのパワハラの事実、財務担当からも受けたパワハラの事実を名前を出して説明した。幸いにもメールを出して5分後には、「個人的に事実を調査します。1年間もの長い間、苦しめてしまったようで申し訳なかった」という返信が来た。

個人的に調査するというのは、筆者の報復の原因が、組織的な調査の下で起こったことであることを、筆者の報告で理解したからだと思う。

退職後、同僚からのLineで財務担当には、社員アンケートの要求がきて、皆が受けてきた被害について、心おきなく報告することができた、ということを聞いた。自分が調査を依頼したとは伝えていないが、これでも同じような被害を受ける人が少なくなればいいかと思っている。

まとめ

正義感の強い人は、必ず敵も作る。もしそうなるとすれば、如何に現実に不正が蔓延しているかということを証明している。正義で成り立っている企業は、正義には賛同するはず。不正をしていると理解している会社であれば、正義が近づかない環境を作ろうとするだろう。

努力しても解決はできない。しかし、その事実を組織を動かせる誰かに伝えることで変えることはできる。日本には、パワハラを受けている人であふれているが、会社を辞めることもせずに耐えている人がいる。耐えてもいいことはない。時間を失うだけだ。世の中の成功者は、そういう無駄に耐える環境を避け、自分が常に前進を出来るところだけを向いて生きているだけだ。

忍耐強くなるのは大切なこと。でも、耐えた先にある何かが耐えることに値するかで、我慢するかしないかを測りにかけた方がいいと思う。