ゲーム業界 - ゲーム開発企業への就職

米国企業で初めてのフルタイム採用

大学を卒業した後、そのまま米国で就労をしましたが

ビザ取得という難題をクリアするのに苦労をしました。

 

基本的に書類選考で落ちます。

連絡が来てもビザサポートが必要であるというと話がなくなることばかり

続きました。

 

大学を卒業してから実に5年もの歳月がかかり

ようやくビザサポートに協力してくれる企業が現れました。

それが当時MMORPGというジャンルの草分け的存在だった

企業です。

 

MMORPGにどっぷりつかっていた人であれば

その企業は、EAに買収され、BioWare Studioと統合され2014年には

完全にその姿が消えてなくなりました。

 

その際に解雇とされた従業員の数は明らかになっていません。

 

MMORPGに詳しい人であれば

私が働いていたゲーム会社がどこだかお分かりだと思います。

 

ゲーム会社の雰囲気

服装:自由です。自由過ぎるほどカジュアルで

短パン、Tシャツ、ビーチサンダルでの出社もOKでした。

 

EAに買収されるまでは、オーナー企業でしたので

本当に自由で1ヵ月に1度、Cake Dayというのがあり

ケーキが20個ほど用意され、全社員が自由に食べに来ました。

 

それ以外にもピザデーがあり

全従業員200人分のピザが用意され

自由に食べるような社内イベントが

定期的にありました。

 

社内結婚

社内結婚も多かったかと思います。

多いのは、どちらかが最初に働いていて

MMORPGの中で知り合い結婚

配偶者はゲームやプログラムに詳しい人も多く

そのまま同じ会社へ移る

という流れが多かったかと思います。

 

ゲームをすることも仕事のうち

これは、日本の会社で同じかは不明ですが

私のいた会社では、仕事中のゲームプレイは

奨励されていました。

 

例えば、サポート業務をしている場合は

サポートの問い合わせメールや電話が来ます。

とはいえ、全て対応してしまえば

暇になりますよね。

 

その間にゲームをプレイすることは

全然許されていました。

 

競合のゲームをプレイしていても怒られません。

それも企業研究とされました。

 

自分で持ってきたゲームを

皆、会社のPCにインストールし自由に

プレイをしてもよいという

自由は社風でした。

 

新作は提供される

新作が出ると必ずクリスマス時期に

全社員に配られました。

 

EAに入ってからは社内割引で購入することができましたが

買収前の会社では、無料でもらえました。

 

そのため、新作が出ることが楽しみで仕方がなく

毎日会社に行くのも楽しみなそんな会社でした。

 

見切り発車で発売するのが基本

この会社に入ってから知ったのですが

ソフトウェア会社の優先事項は

発売日です。

 

発売を遅らせることが一番のリスク

 

そのため、発売日に間に合うぎりぎりまで

バグを修正していきますが

完璧に仕上がる前にリリースし

ローンチ期間中に

修正をしながら、調整していきます。

 

とはいえ、発売前、バグを修正する

品質管理部では、徹夜作業が1週間ほど続き

家族からクレームの電話がよく入っていました。

 

うちだけだと思いましたが

見切り発車発売は、米国ではどこのソフトウェアも

同じでした。

 

完璧に仕上げるが故に発売日を延期することが

リスクであることを初めて知った瞬間でした。

 

1作品完成するのに長い

ゲーム会社で働くことのリスクは

コケると往々にして何名かがレイオフされます。

 

それくらい先行投資型のビジネスなのです。

 

MMORPGを1作品作るのに数年かかりましたが

物販で考えると、次の新作が出ないと

売上が出ないですよね

 

現在ではほぼ当たり前な、月額課金無料というのは

当時韓国製のオンラインゲームで始まったばかりで

米国では、まだ月額課金が主流でした。

 

従量課金制が増えてきていても

そんなトレンドはどこ吹く風のごとく

月額課金にこだわっていました。

 

このおかげでしばらくは食っていけたわけですが

サブスクビジネスは、製品が多ければ多いほどいい。

1作品目のファンが2作品目のファンになることもあり

2作品目を始める前に1作品目の課金を止める人もいれば

同時進行する人もいる。

 

課金を止めてゲームから離れても

暫くすると返ってくる人も意外といます。

 

だからサブスクのようなスタッキングモデルを採用する

ビジネスモデルは、売上予測もしやすい。

 

私がいた会社では、5スターしか発売しないというような

ポリシーがありました。

なので1作品、開発がとん挫した作品もあります。

 

1作品目があまりにも草分け過ぎて寿命が長かったので

自作をそのレベルまで高めるのは難しかったと思います。

 

ゲーム会社は楽しむ能力が必要な素養

基本的にゲームして楽しいと思えることは

この業界で働くのに必要な素養です。

 

販売するだけなら、その必要がないと思う人は

沢山いると思いますが

結局、遊ぶことへの飽くなき探求こそが

エンターテイメント企業には重要なのです。

 

それは、会社の働き方にも反映されています。

窮屈な文化から楽しいことは生まれません。

 

給与はまちまち

気になる給与ですが、普通のITをイメージしていて

給与が高いと思っている方もいるかもしれませんが

本当にまちまちで、所謂IT企業と比較したら

安いです。

 

私のいた会社では、ゲームの開発者や

アートの作家である従業員は

その権利が会社に帰属するのではなく

個人に帰属していたため

1作目の成功とともに

大きな牧場付きの大きな家に引っ越した

メインプロデューサーもいました。

 

その牧場で馬を放牧して暮らしていました。

 

しかし、EAに買収されると

こういう権利が会社に帰属するようになるため

ゲームプロデューサーやアートディレクターは

会社を離れていった。

 

昔、Rollercoaster Tycoonというゲームが

PCではやりました。

 

自分でまっさらな土地から

Rollercoasterを中心に遊園地を作っていくゲームです。

このプロデューサーは、かなりの富を得たと聞いています。

 

EAの怖さ

EAとは、Electronic Artsの略ですが、ゲームをプレイする人であれば

FIFA 2021、Battlefieldなどのタイトルを知っている人がいるかもしれません。

 

色々なスタジオを買収している会社でもあります。

 

私が元いた会社も、そのうちの一つとなりました。

 

当初は、大きな会社になるんだからいいんじゃない

と思っていましたが、従業員の多くが不安な顔をしていました。

 

理由は、皆がEAの怖さを知っていたからです。

 

EAの当時の噂は、買収後に有能なプロデューサーを残し

他を切ってコストを軽くするというもの。

 

経営者マインドであれば、ごくごく当たり前の手法で

特にアメリカでは、当たり前でした。

 

しかしながら、ゲーム業界の中ではEAに買収を持ち掛けられ

受けたら最後というのが通説になっていました。

 

案の定、買収後は、およそ半分程が自主退職か会社都合により

会社を去った。

 

その後も、メインのMMORPGの運営を継続された。

 

2014年、正式にその会社は業界より姿を消した。

 

会社がなくなった今も当時のMMORPGゲームは

未だに親しまれ運営されている。

 

今考えると買収する側は、有能なチームを葬ったに過ぎない。

 

元来、才能があろうがなかろうが

その才能を使う側次第で

活躍するか破滅するかが決まる。

 

米国企業は、日本と違い

このような淘汰が繰り返し行われる。

淘汰を繰り返すことで

市場のランキングが入れ替わり

市場が細胞分裂を繰り返し

新たな企業に生まれ変わっている。

 

ゲーム会社で働きたい学生の方へ

ゲームが好きな人は、一度は夢見る業界ではありますが

働く部署によっては、華やかさを維持できることもあると思います。

 

大変なのは、どこの部署も同じですが

実際に華やかさを目にするのは

マーケティングが多いかもしれません。

 

日本にもゲームコンベンションがありますが

アメリカにも大きなコンベンションがあります。

 

そこで展示する際にブースを飾ると思いますが

そういう仕事は、いつやっても華やかに見えます。

 

またプロモビデオを製作すると思いますが

そういうのも華やかな仕事の一つに感じるかもしれません。

 

コーディングが得意な人は

ゲーム業界に関わらず、同じような業界では

重宝されますし、ゲーム会社から入って

セキュリティソフトウェアなどの企業に入れば

給料も上がるかもしれませんね。

 

ゲーム会社は、一部を除きそれほど給与水準は高くないかも

しれませんので、バランスを鑑みて目指しましょう。