外資系勢いの合弁解消

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海外勢はしたたか

日本は、義理と人情がビジネスにも長いこと浸透したが

外資系には、そこまでの人情はない。

 

合弁解消は、合弁設立から計画的なものだったはず。

 

ゲーム業界では、エレクトロニックアーツ

ビール業界では、アンハイザーブッシュインベブ

といわれるくらい、買収と重複をそぎ落とし

多くの人はレイオフを食らったと思う。

 

そういう会社であることは間違いないが

それが戦いに勝ち続ける経営者に必要なしたたかさでもある。

 

私は、日本4大ビールの海外法人の一つで働いたことがあるが

駐在の方が、海外主力ビールブランドとの合弁会社を作って

国内生産するには、自社ビールを上回る勢いを

意図的に止めるためでもあるという思惑があることに

言及していた。

 

それも経営判断としては真っ当な考えであると思う。

 

勿論、シェアが広がれば

合弁を解消してくるのも分かっていたことだろうが

大抵、合弁はサクッと解消される。

 

日本の商文化が原因で

日本は交渉下手であると思う。

 

特に契約書が力が弱すぎる。

 

アメリカでコロナの販売権をお願いしたいと

メーカーから依頼された卸問屋は

またとないチャンスだと喜び

その契約が破棄されないよう

売上を伸ばし続けることに注力する。

 

それは、契約書に販売目標数が書かれてあることが

多いからだ。

 

この目標を三年達成しなければ

契約更新をされなくとも文句は言えない。

 

しかし、日本の卸問屋は

契約さえ締結できれば

半永久的に取り扱いが消えることはないと

思っている。

 

汚い言葉でいうと

メーカーをなめてる。

 

メーカーは、販売権を与えているから

こちらが取り決めた数量は達成しなければならない

と思っているのに対し

卸側は、売っているのは俺たちだから

とやかく言われる筋合いはない

と陰では言っていることが多い。

 

方や、いつでも契約更新停止してもいいと思っているのに対し

方や、そんな脅しには乗らないと軽く見ている。

 

その脅しを本気で実行してしまうのが外資だ。

 

コロナビールが合弁解消のきっかけ

合弁設立時には、バドワイザーを強化したかったのだろうが

日本に上陸するほどのシェアはなかったのだろう。

 

アンハイザーブッシュインベブは、2013年にコロナを持つ

モデーロ社を買収する。

 

このコロナがバドワイザーよりも日本国内では売れていることで

これを足掛かりとして上陸してきた。

 

アンハイザーブッシュインベブの財力であれば

もっと前に上陸もできただろうが

面倒くさいシェア争いは競合に任せ放置

大きくなったところで根こそぎ刈り取ってしまう

オーソドックスな買戻しは、強者がよく使う手だと思う。

 

こういう合弁解消からの外資進出は

今後もいろいろな業界で行われるに違いないと思う。

 

外資メーカーは、効率を求めている企業は多い。

 

進出にあたり、販売代理店として

大きなメーカーと手を組んでブランドだけ上陸する。

 

国内勢は、一度結んだ契約は半永久的だと思い込んでいるため

シャアをそこそこ伸ばすも、大きくなったら足を救われ

大きな売り上げとともに、人気ブランドを失う。

 

国民からすれば、依然、同じバーや小売りで購入できるため

販売元が誰だろうが関係ないので、ブランド力を失うこともない。

 

国内で海外ブランドを販売する代わりに

合弁した企業の国で自社ブランドを彼らの販売網に乗せて

売ることができる。

 

しかし、これも海外では販促に力を入れるわけでもなく

あくまでも彼らのポートフォリオに入るに過ぎない。

 

アンハイザーブッシュインベブがキリンとの合弁の最中

アメリカにいたが、だからと言ってキリンが

バドワイザー並みに売れていたかというとそんなことはなかった。

 

ただ、日系のにおいがまるでないドラフトタップが豊富にあるバーの一つに

キリンが入っていることはあったり、小売りも現地のスーパーに

キリンが並んでいるということはあった。

 

とはいっても、決して圧倒的に売れている日本のビールでもなかった。

 

大手の販売網に乗っていないサッポロの方が売れていた。

 

アサヒも昔は北米でミラー社との提携でポートフォリオに入っていたが

全く売られていなかった。

 

結局、海外ブランドは日本のブランドを売る気などさらさらなく

自分たちのブランドを日本で展開させることにしか興味はない。

 

最近は、アンハイザーブッシュインベブが持っていたブランドを

アサヒが買収して勢力を広げているが

合弁をするより、買収した方が自国での販売にも力が入る。

 

合弁を持ち掛けられたら受けず

買収の時期をとにかく時間をかけて待つことがベストだと思う。

 

似た例で「山崎ナビスコ」がリッツとオレオのライセンスを切られ

モンデリーズジャパンの手に渡ったことも記憶に新しい。

 

海外勢が日本との契約を解消する例はよく見るが

逆の例はあまりニュースで聞かない。

 

日本勢は、合弁やライセンスは

ある日突然切られると考えて提携をし

次の勝ちブランドを育てないと

普通に負けていくだけだと思う。

 

人気のブランドが本家に戻り

急いで新たなブランドを立ち上げたところで

失った売り上げを戻すに過ぎず

失ったブランドを持っていた頃の売上以上に

成長するには、もう何年かかかるかもしれない。

 

今後もこういうしたたかなブランド買戻しは

増えるので、ライセンス販売や合弁を行っている企業は

手放される準備をしておいた方がいいと思う。