本当の管理って何?

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好奇心のある管理者

筆者の部署は2人のみ。筆者と部下一人。出社していれば向いに座っていて、業務で分からないことがあれば、そのまま直接聞く。敢えて会議を設定する必要もない。

もともと好奇心旺盛な性格なので、色々なアイデアを思い浮かべたり、この年齢では聞くのが恥ずかしいことも平気で聞いたりする性格。それでいて、個人のプライベートには一切興味がなかったりする。だから、プライベートな事実は、まわりまわって最後に知ることが多い。

2人しかいないし、顧客管理は部下が行っているので、筆者が電話をするのは、部下か上司かの二人しかいない。会社携帯は、ある意味、本当に携帯している時間の方が長く、たまにテキストするくらい。

リモートになって、この電話をよく使うようになった。二人しかいないので、敢えてTV会議をする必要もない。ちょっとしたことであれば、Teamsについているチャットで済ます。

メールやテキストではちょっと書くのが面倒だけど、すぐ済ませる用の時に電話を使う。それが意外と多かったりする。リモートになって、恐らく電話をしていない日は1日くらいしかないだろう。1日に1回くらい。

下記のような部下を持つ事例に対して人事はカチンと来たと言っているが、もし同じケースの部下を人事が持った場合は、どういう対応をするのか興味深い。

「彼とはこの2週間全然連絡が取れないのです。メールや電話をしても出ないし、ウェブ会議を招集しても参加しないので困っています」

安否確認をしたいのは、この上司も同じだと思う。

  • 電話に出ない
  • 会議に参加しない
  • メールの返信も来ない

これ以外の安否の確認の方法は、

  1. 自宅を訪問する
  2. 別の同僚経由で確認する

くらいしか方法がないと思う。

もっと言うと、もう大人なんだら自己管理して下さい、と私なら思う。

  • 電話に出ない→コールバックが必要な場合は留守電を残してテキストでも残す
  • 会議に参加しない→参加強制と書き残しておく(実際には強制していない)
  • メールの返信も来ない→開封確認の機能をオンにしておく

ここまでして連絡が取れないなら、自宅を訪問する以外の方法はないと思う。

筆者なら一旦、別の同僚、電話に出そうな同僚を経由して様子を確認してもらう。本人が問題なさそうなら、あとは放っておく。正直、本人の売上に支障をきたしていないなら干渉しない。成績が大きく下がっているなら、指導はするが、そもそもリモートで本当に遊んでいる社員ならば、出社していても営業中に営業なんかしていないはずである。

リモートが推奨されるようになってからは、正直言って、家庭の状況も考慮に入れないといけないと思う。上司の子供が既に成人して夫婦二人の家庭環境だとして、その部下の子供が幼稚園に入る前の家庭環境だとしよう。上司は、邪魔が入らないのに対して、部下の家庭環境では、子供も小さく小さなマンションで済んでいるのだとすれば、子供の邪魔が入らないスペースを確保するのも難しい。

またその部下夫婦が共働きで、夫がリモート、妻は出社のスタイルの場合、子供の面倒は夫が見なければならないだろう。そういうことも含めてリモートは大変である家庭もあることを考えないといけない。

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「えっ、就業時間中なのにパソコンの電源を切っているのはどういうことだろうと思いました。出社時も電源を切ることはありませんし、パソコンを使わないでどんな仕事をしているんだろうと。こんな疑惑を抱く社員は結構います。人事部内でも議論になりますが、結局、そういう社員は出社しているときも仕事をするフリはしていてもあまり成果を残していなかった人が多い。それが在宅勤務中に顕在化したというのが結論です」

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同じリモートでも考え方を今までの考え方と180度変えないならば、リモートも意味がないものになる。時間で従業員を管理しようとするから、上のような疑問が生じるのだ。

実際に普段怠けている部下がいたとしよう。ただ毎月予算達成をする一匹狼がいたとする。一匹狼タイプの部下は非常に管理しにくいが、数字に貪欲だったりする。数字は必ず達成する者の、普段怠けていることも聞いている。

一方で勤勉態度が非常にまじめで献身的でありながら、予算を達成した月がない営業マンがいたとしよう。

どちらが会社にとって必要なのか?

毎日時間拘束はきちんと守っているのに、未達の人は仕事をしていると呼べるのか?逆にさぼっているのに、毎回予算達成の人は仕事をしていないのか?

時間で縛るからこういう状況の時に悩むわけで、時間で管理することを人事部はやめればいいと思う。最近は勤怠管理のソフトが出ているからオンラインで打刻が出来る。でも厳密にいえば、打刻で管理する必要のある人は、時間給で働いている人だけだ。

何故なら、オンライン打刻であっても、残業をしても反映されない。結局、仕事があっても定時で打刻させらることは変わらない。

米国のゲーム会社で働いていた頃、テクニカルサポートで仕事をしていた。社内で開発する基幹ソフトを通じてメールや電話対応の議事録取りとメール送信を行う。テクニカルサポートで管理されていたのは、

  1. 電話がかかってきてから何秒以内に電話を取れたか?
  2. ドロップした人数を何名までに抑えられたか?
  3. 一日何名の対応が出来たか?

主なところだとそんなところだ。

この基幹ソフトには、ログインした時間とログアウトした時間が記される。この時点で打刻はいらない。テクニカルサポートは、届いた問合せを出来るだけ早くさばくというのが管理内容なので、例えば午前中に全てをさばいてしまうと、午後は、新たな問い合わせが来るまでは、ゲームをしていてもいいという社風だった。

日本は、社内でネット見てはいけないとか、どうでもいいことを徹底していたが、ネットを見ていないから仕事が出来るのかと言えば、そういうことでもない。そういう変な管理をされていた人が徹底した結果、時間でしか部下を管理できない上司に育ってしまったからだ。言い換えると仕事が出来ない上司に育ってしまったということだ。

日本は、どの企業も周りがそうしているから、そうすることが一般的なルールだと考える傾向にあるけど、決してそうではないと思う。その会社、その部署が最優先している事項を管理すればいいと思う。時間で管理するなら、定時を守っている人は評価項目に入っていた方がいいだろうが、そんな評価項目は人事のメモにあるくらいで、実際は悪いときにしか評価に入らない。

1~2割が稼働しなくても会社が回る

これは、人数としてもそうなのかもしれないが、もっと言うと個人の拘束時間の8時間がなくても仕事を回せる。

人数に入るかもしれないが、上司がいなくても会社は回る。

多くの会社では、社長が出社していなくても回っているだろう。

結局、会社は末端の現場の人だけが稼働しているだけで、ルーティンはこなせる。上司や社長が必要なのは、決定する時だけだ。

もしJob型で営業を採用するなら、正直、そこはアウトソーシングしてもいいんじゃないかと思う時がある。というのは、アウトソーシング側は、KPIを達成することをその条件としている。自社の社員だと、KPIが達成しなくても職を直ぐ失うことはないため、数字に特化した営業マンは育たない。

でも、長年営業マンしているだけでも、社歴が長く毎年昇給をしていれば、それなりの給料をもらっている計算になる。新入社員と比較すれば、優先順位を回る件数など、見える数字で管理したい部署は、アウトソーシングの方が確実だ。

日本は一体何年、働き方改革をしていくのか、疑問だけが残る。