他の分野でも仲間卸をお願いしたいアマゾンサービス

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昔ながらの卸の限界

埋め込んだリンクは、2020年2月の記事と古いのだが、帰国した2013年から現在に至るまでずっと思っていたことを、アマゾンが実現してくれた内容である。

 

実際、仲間卸のような配送業務は、インドやフィリピンなどの新興国で、外資大手企業 が実践していて、それが故にトップシェアを維持できるというのだ。

簡単に言うと、卸には全国と特定地域のみをカバーする大小2種類の卸がある。海外ブランドが新興国又は、自国以外の国で販売を開始する際に、真っ先に頭に浮かぶのが

  1. 現地の大手卸との提携
  2. 現地の大手メーカーとの業務提携

により手っ取り早く配荷をして大きく稼ぐというアイデアだと思う。

日本企業の海外法人の多くは、上記のやり方をしてきていると思う。言い方を変えれば、どの国に対しても同じ戦略が多い。

一方で新興国に強い大手企業は、現地の商文化を最大限に利用する。フィリピンやインドでトップシェアを維持できる理由は、どの地域にも隈なく商品がいきわたっているということだが、大手卸が小さな村や町の小さな商店に納品までしない。ということは、多くの海外ブランドは、都市部でしか見られないということだ。

現地のシステムを最大限に活用するというのは、小さな村や町の商店に届ける、小規模卸を最大限に活用するということ。一見すると、非常にコスト効率は悪く聞こえるが、それが結果的にシェアの最大化を実現しているのだ。

町や村などは、新興国と比較すれば日本は少ないかもしれないが、卸の口座を開設できない小規模ビジネスは沢山存在する。

特に副業として楽天やアマゾンに商店を開き、二次卸のような機能としてセレクトした商品を販売している人は多いだろう。そういう人からすれば、卸を通して購入するというオプションは自ずとなくなってくるだろう。

Amazonが今回始めた仲間卸は非常に助かる。卸には、最低ロットを設けている企業も多くあるだろうし、書店も古くからの商習慣だと思うので、買わなければいけない数量が多いだろうが、仲間卸のお陰で、小規模の商店は助かる。しかも、アマゾンであれば、検索で簡単に目的のものが見つかる。

卸のように人を介している場合、探しているブランドは、どこの卸が取り扱っているのかという事実を見つけ出すことだけでも一苦労。この作業をしている間に、取り扱いを諦めるだろう。特定のブランドを担いでいる卸からすれば、どこの卸で取扱っているか知っていても、存じ上げませんと情報を提供しないのも理解できる。

そう考えると、当たり前かもしれないが、市場のシェアは大手に操作されている。それは、どの業界もそうである。TV業界も、局により考え方が偏っていて、放映内容は操作されていると言っても言い過ぎではない。

YouTubeが出てきたことで、様々な考え方を世界中に配することができたことで、TVの限界も来た。

Amazonが全ジャンルにおいて仲間卸を実施すれば、実質卸を駆逐することができる。

筆者は、健康食品で飲料を販売していたことがある。これをフィットネスクラブへ卸したいと考えてたことがあるのだが、

  • フィットネス向けの卸が分からない。
  • 卸が分かっても1SKUだけ、販売実績も大きくないものを取り扱うとは思えない
  • 小規模フィットネスクラブや商店は、卸の最低ロット5-10ケース等をクリアできない。
  •  小さなフィットネスクラブには、口座開設もできないため商品を届けられない

というような問題があり、結局、断念した。しかし、アマゾンが卸をしてくれていれば、どんな小さな企業でも1ケースから購入できるわけだし、法人向けのAmazon Primeのようなものがあれば、翌日に配送無料で届くサービスもあるかもしれない。

そうなれば、小さな市場や商店にも活性化するチャンスがまた出てくるだろう。

最後に、小さな商店には、その規模をどうしても大きくできない経済的な事情があっても、せめてEメール、ECができる環境だけでも揃えて欲しいと思う。

筆者の母は、70を超えているが、初めて行くところでも、路線アプリ、Google Mapを使ってどこにでも仕事へ未だに行っている。Lineのスタンプもかなり上手く使いこなしている。

それは、母に知識があったからではなく、やってみようという気持ちがあったからにすぎない。もともとは、何でもノートに記入していた人だ。最初はエクセルの使い方まで、逐一ノートに取っていたが、ノートをとるとなかなか覚えられない。以前は、前にも教えたことを何度も教えていた。しかし、仕事でエクセルを使うようになってからは、同じことを聞くことはなくなった。何でも習慣になれば覚えられるからだ。

筆者は、今まで古い業界で働いてきた。注文は、未だ紙ベースのFAXで来る。FAXは、今ではメールで受信できるため、FAXのデバイスを持っている必要はない。海外には売っていないと思う。ご年配の方々は、自分が変われないと思い込んでいる。本質を変えることはできないことはあっても、習慣くらいは変えることができる。

最初はできない、知らないことがもとになって感じていた恐怖も、知ることでその恐怖は取り払うことができる。是非にも新たなことに一歩踏み込んで頂きたいものだと切に願っている。