呼び捨て文化は終わってもいいと思う

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 コロナでリモートワークが普通になってきたからという理由ではなく、出社形態であっても、呼び捨て文化はいらないと思う。

学生時代、先輩や先生から呼び捨てで呼ばれてきたけど、上下関係を誇示するためにあったとしか思えない。

日本の企業に入ったときは、出来ない人ほど、呼び捨てで呼び、偉業を成し遂げた人ほど、君をつけて呼んでくれた。二回りも先輩なのにも関わらずである。

初めての仕事は海外拠点の日本の政府機関だった。そこの上司は、二人とも「君」をつけて読んでいたし、頼みごとをしていた。

次は教育機関で、これも日本の組織だったが、ここでも「君」はつけてくれていた。他の人にも呼び捨てしているのは聞いたことがなかった。

3つめは海外企業だったが、その後、日系企業の営業職についた。

ここで私を直接雇ってくれた統括部長も「君」をつけて丁寧に接してくれたし、直属の上司、大ベテランの先輩も「君」をつけて、よく面倒を見てくれた。

この営業についた最初の職で初めて呼び捨てにされたのが、社でも評判の悪い先輩社員。この人だけが他の人を呼び捨てにするが上からも下からも評価が低かった。

その後、メーカー勤務となったが、雇ってくれた社長をはじめ全員が「君」や「さん」をつけて読んでいた。最初のパワハラがあったのもこの会社だが、その1名を除けば、素晴らしい会社という評価だ。本当に一人が全てのイメージを壊す証明となった。

パワハラをきっかけに、日本の本社にいる、当時私を雇ってくれた社長に、パワハラの現状を訴えた。全面的に支援をするが、解決するまで社内で更なるパワハラといずらい状況が続くかもしれないが大丈夫ですか?と聞かれたので、退職を決めたので、思い切り進めて下さい、と伝えた。

その言葉をもって、もと社長は全面的に動いてくれて、その問題のあった駐在員専用のチームが組まれた。そこでどのような対応をするかということで、本社が本腰を上げてくれたのだ。

パワハラ以外にも目立つ問題があったその上司は、早い段階で日本へと戻されたが、配属部署はなかった。実質解雇に等しい。本人から辞職をしていった。

パワハラは、やられている側が報復を受ける可能性を心配して、やられっぱなしということが往々にしてある。しかし、状況を変えてくれる人にのみ話せば、報復を画策する人に伝わる前に本丸に話が届く。自分は、その会社にいられなくなることが多いかもしれないが、少なくとも後に同じような被害が広がるのを多少は防げたと思うことで良しとしよう。

この後の企業は、超外資だったので殆ど英語のコミュニケーション。皆さん、「さん」づけで呼んでいましたが、それでも上から目線の人はそれなりにいた。その全員が国内でしか仕事をしていない人。

次の会社が、超日系企業で、ここは日系企業の悪い見本が揃った会社だった。上司の役職に就く人は、殆ど呼び捨て。社長はトップダウンだったけれど、「君」づけだった。癖のある社長だったけど、正直憎めなかったのは、そういう接し方にあったかもしれない。

直属の上司からのパワハラをメールで受け、人事にそのまま転送。どちらかが辞めなければ解決しそうにない問題と人事が判断したため、私から退職を申し出た。正直、人事に話してからというもの、上司のパワハラ気質のコミュニケーションは変わらない。

経験から言うと、パワハラの問題で両者が人事と話をしている場合、弁護士を通すではないけれど、双方向のコミュニケーションは、人事を挟んでやった方がいい。面倒かもしれないが、最終出社日、机を片付けた際、「全て片付けましたので、これをもって失礼致します」と挨拶をすると、「本当に終わったのか?」と全ての引き出しを開けて、確認し始めた。

もう上司からすれば憎しみしか私には抱いていないわけなので、この最後の終わりましたも、人事部長に確認をとり、人事部長を通して二人を会わせないように去らせるべきである。

日本は、平和な国なので、報復が業務外ではないかもしれないが、米国では解雇された報復に、銃で撃たれることは多々ある。自分の仕事関係の卸さんでもあった。14人が亡くなった。

こういうことを避けるためにも、どちらかが辞めないと収まらない状況の時は、それ以降、二人を会わせないことを徹底するべきである。もし辞める側が金持ちで、弁護士を雇って弁護士を通してしかコミュニケーションをしないで下さい、と言われたら、会社は毎回弁護士費用を払うことになる。非常に大きな出費となる。リスク管理をするべき時代に来ている。

その後、また超外資を経て、現在の外資に至るが、現在の外資は、外資だけれど中身が国内企業と言っていい。呼び捨て文化も、人前で叱責する文化もある。

思った通り、人はやめ続けていく。呼び捨てしていた側も辞めたが、最後、パワハラを受けた側は、皆の前でそういう扱いを受けていたことを公表する程、憎しみへと変わってしまった。

その後、別段、会社に不満のない人も、恐らくできればここじゃないところがいいと思ったのだろう。やはり辞めていってしまった。

未だに心配しているのは、一時のピークを過ぎて辞める頻度が減ったけれど、依然として辱め文化が残っている。これが残っている以上、人は成長しないし抜けていく一方。会社の業績が思わしくないのは、不信感や恐怖を頂いて働いているから。

しかし、組織に安心を与えてやれるのは、マネージメント職の人でしかない。また仕事内容でもない。人だけが人を動かせるということをTOPの人は肝に銘じて部下を敬うべきだろう。

家族より、会社の上司と顔を合わせている時の方が多いだろうから、ある意味、上司が親代わりだ。時にには、叱ることも必要だが、何よりも教育を施し、機会を与えてやるのが親の役目だろう。

小学生の時から、学費は自分で稼げなんていう親はいない。成人を迎えるまでの21年間は親が面倒をある意味見ている。会社だったら、今なら数年かもしれないけれど、数年なら面倒をしっかり見て欲しいと思う。

転職で来たんだから即戦力で出来て当たり前と外資系の外国人含め思っているが、間違いだと思う。あなたの会社での経験は赤ん坊レベル。一般的なスキルは大人レベルだが、前職のように振舞って、「うちの会社では違う」と叱責するのは部長たちだ。叱責するなら、最初から教育をしっかりと与え、成長できる機会を出来るだけ多く与えるのが筋だろう。

その中に失敗もあるだろうが、任せたなら失敗も含めて見守らなければ育ちはしない。今では、病院も患者によって選ばれる時代になってきた。会社も部下に選ばれている。もし転職で人が入ってきて、古株よりも新人の方が辞めるのであれば、古株に問題があることを疑うべきである。

うちのやり方が気に入らないなら他に行きなさい、と思うかもしれないが、他に行くところは山ほどあることにも気が付いて欲しい。動いて欲しい人が、部長クラスの成績を決めているという事実をお忘れなく。